第44回宮崎県医学検査学会 
抄録集

学会日時:  受付開始 9:00より
 学会開始 9:30
学会場:  宮崎市郡医師会臨床検査センター視聴覚教室
一般演題:  8題
特別講演:  1題

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演題No. 5

ホルター心電図にて心室細動を認めた一例

○佐藤香織1) 久方尚一1) 稲田千文1) 宮原加奈1) 森山 泰2) 野崎俊光1)
宮崎県立延岡病院臨床検査科1) 同院循環器科2)

【はじめに】
 心室細動(以下Vf)とは、突然心臓が一定のリズムで拍動できなくなり、心室の筋肉が勝手バラバラに電気的興奮を起こしている状態のことをいい心臓突然死を引き起こす致死性不整脈の1つとして知られている。
今回我々は24時間ホルター心電図記録中に心室細動を認めた一例を経験したので報告する。

【症例】
  82歳 女性  主訴:呼吸困難
 安静時に息苦しさが強くなり近医受診し、胸部レントゲンにて心不全を疑い当院搬送となった。来院時の心電図は洞調律であったが、モニター上などでR on T の心室性期外収縮(以下PVC)を確認しており、入院19日目(2005年3月7日)非持続性の心室頻拍(以下VT)が出現したため、入院22日目(3月10日)その精査目的にてホルター心電図装着となった。

【経過】
 ホルター心電図の解析結果を見ると、装着時よりR on T のPVC が散発していたが、検査開始8時間後より PVC の2段脈が出現し、その後、R on T のPVC より VT が起こり、Vfへの移行を認めた。その後緊急処置のため取り外し、記録終了となっていた。
 この時患者は意識消失しており、ショック状態となり、DC施行など緊急処置で何とかsinus recoveryしたが、今後のVT/Vf 突然死予防目的のため、後日、植え込み型除細動器(ICD)術を施行となった。

【まとめ】
 ホルター心電図において、Vf の発症様式およびその波形もとらえることできた稀な一症例であった。本例は洞調律からPVCの2段脈、R on TのPVC、VT、Vf へと移行した経過をたどっており、Vf の典型的な発症様式を示していた。
  ホルター心電図は、様々な不整脈や虚血性心疾患の診断、治療に有用であり、今後も慎重に解析業務に取り組みたいと考える。